世界気象機関(WMO)の「全球大気監視」(GAW)プログラムは、窒素循環に関する国際ワークショップを開催した。窒素は、肥料として食料生産に重要な役割を果たす一方で、大気、水、土壌、気候、生態系に悪影響を及ぼす可能性があり、使用の効率化が課題である。ワークショップでは、大気中のアンモニアや、温室効果ガスとしての作用も強い亜酸化窒素等の観測やモデル化の強化を通じた国際窒素管理システムの支援など、窒素の効率的使用のためにGAWに何ができるかが主題となった。ワークショップは結論として、アンモニア排出量の規制や観測体制には国ごとに差があるため、気体アンモニアの研究観測活動を優先すべきであるとしたほか、有機窒素化合物の気体、エアロゾルおよび沈殿物を、研究観測活動の重要分野に指定するよう勧告した。WMO/GAWが今後農業界との関係を強化する必要も指摘した。窒素サイクルは気候変動の影響を受けやすく、肥料管理にも重要なことから、「気候サービスのための世界的枠組み」関連の実証実験が行われる分野での共同プロジェクトなどが有益だという。