国連環境計画(UNEP)は、成長が続く建物・建設部門について、2030年までに床面積1平方メートルあたりのエネルギー強度を30%改善しなければパリ協定の目標達成への軌道にとどまれないと報じた。今後2060年までの40年間で新たに建設される建物の延床面積は総計2300億平方メートルに達するとみられており、この大部分が立地するのは建物のエネルギー基準が義務付けられていない国だという。UNEPは、エネルギー強度を30%改善するためには、今後10年以内に世界的な建築物基準としてエネルギー消費量とCO2排出量をほぼゼロにすることが必要になると説明した。同時にUNEPは、高効率な建物の建築や建物エンベロープ(壁や窓など、建物の内と外の熱を隔てる構造物)の改良によって2015年のG20全体の最終エネルギー消費量を上回るほどの膨大なエネルギーを節約できる可能性があることにも言及した。また、ゼロエネルギー・ビルや廃棄物リサイクルなど世界の成功事例も取り上げ、省エネで低炭素型の解決策は多いとして、取組を強化すればパリ協定の目標の達成は可能であることを強調した。