アメリカ海洋大気庁(NOAA)とアメリカ航空宇宙局(NASA)は、2019年のオゾンの衛星観測結果を公表し、南極オゾンホールは1982年以降で最少だったと報告した。2019年は南極上空の上層大気の著しい温度上昇によりオゾン層破壊が大幅に抑制され、2019年9月8日に記録した年最大オゾンホール面積は1640万km2にとどまった。オゾンは3つの酸素原子で構成される高反応性の分子で、オゾン層は地上約10~50kmの成層圏にあり、皮膚がんや白内障等の原因となり得る有害な紫外線から地球を保護している。南極のオゾンホールは、南半球の晩冬に太陽光が射し始め、人為起源の化合物由来の化学物質、塩素と臭素が触媒となりオゾン破壊反応が始まると発生する。オゾン破壊物質は雲粒子が生じる低温の極域成層圏雲の表面でオゾン分子を破壊するため、この雲が生じにくい暖かな気温ではオゾン破壊が制限されるという。NASAは、今年の記録は高温によるものであって大気中オゾンの急速な回復を示すものではないとしている。