アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、オゾン層を破壊する化学物質として2010年に製造が禁止されたトリクロロフルオロメタン(CFC-11)の排出量が急増した問題に関して、2018~2019年にかけて排出量が急激に減少し、2012年以前のレベルに戻ったことを明らかにした。2014~2016年にかけて世界のCFC-11排出量は年間13,000トン以上増加し、それ以前の平均排出量を25%上回った。この増加の40~60%は中国大陸東部からの排出であった。この問題は2018年に指摘され、モントリオール議定書の違反に対処するための早急な措置を求めた結果、中国は施行と査察評価の見直しを発表し、科学者たちは観測データを基にその影響を調べ、中国東部からの排出量減少を確認した。今回の問題は観測システムからの早期警告がいかに重要であるかを示す好例となった。今後、代替フロンのHFCとHCFCの規制強化が想定されているため、エビデンスに基づく規制の遵守状況の検証は非常に重要となる。