世界気象機関(WMO)は、エルニーニョ現象が発生する可能性は低いながら、2020年3~5月は世界各地で海面温度と地表温度が平年より高くなる、と予報した。同期間は60%の確率でエルニーニョ・南方振動(ENSO)中立状態が続くと予測され、エルニーニョとラニーニャの発生確率はそれぞれ35%、5%と低いという。ENSO中立状態は2019年7月から続いており、オーストラリアの干ばつや東アフリカの豪雨にはインド洋ダイポールモード現象(IOD)の影響があったとみられる。WMOは、IODなどの他の気候要因を加味したうえで、熱帯及び温帯地域の大部分で海面温度が平年を上回る見通しであり、2020年3~5月は特に熱帯地域で地表温度が平年を上回る傾向にあること、等を報告した。また、ターラスWMO事務局長は、「気候変動によって気温や海面温度、海洋貯熱量が上昇し、ENSO中立状態の期間でもこれまでより暖かい」と説明し、「人為的な気候変動の影響は自然界の主な気候要因の影響に匹敵するほどになっている」と指摘している。