世界資源研究所(WRI)は、気候変動対策や公平性に配慮した公共交通機関の再構築に関し、具体的な提案を行った。世界の公共交通機関の利用者数は、2020年末時点でコロナウィルスのパンデミック前の20%程度にとどまっている。バスや電車は、1kmあたりの温室効果ガスの排出量が自家用車に比べて約3分の1になる。つまり、公共交通機関は自転車や徒歩と並んで、私たちの身近にある気候変動対策であり、今後10年間に公共交通機関を導入することが、気候変動対策の目標を達成する上で決定的な要因となる。しかし、低・中所得国の都市では公共交通機関への運営支援が少ない傾向があり、同じ国内でも公共交通機関のアクセスに、所得による格差がある。同研究所は、平等なアクセスを重視した都市計画の再考、持続可能な資金提供、公共交通機関とその利用者を支援する制度の再構築などを提案している。世界をグリーンリカバリーへの道に導くため、計画、政策、資金を伴った支援によって、公共交通機関のサービスを安定させることが必要である。