欧州環境機関(EEA)の報告によると、大気汚染は、欧州の18歳未満の子供や若者に年間1,200人以上の早死を引き起こしていると推定され、将来の疾病リスクを大幅に高めている。この数十年で主要な大気汚染物質の排出量は減少しているものの、多くの欧州諸国で大気汚染のレベルは世界保健機関の基準を上回っており、特に中東欧やイタリアで顕著である。オゾンと二酸化窒素(NO2)の短期曝露や微小粒子(PM2.5)の長期曝露は子供の肺機能と肺の発育に影響し、大気汚染は欧州の子供と青年の9%を苦しめる喘息などの慢性疾患を悪化させるだけでなく、成人期後半に慢性疾患のリスクを高める可能性がある。大気汚染の低減に向けた取り組みが必要であり、学校や幼稚園などの場所の空気質の改善が重要となる。2021年にはEUの都市人口の90%以上が有害なレベルのNO2、オゾン、PM2.5に曝露されており、特にPM2.5は健康に深刻な損害を与える汚染物質とされ、脳卒中、癌、呼吸器疾患の主要な原因となっている。