中国は、飼育下繁殖のジャイアントパンダを野生に戻す計画を進めている。この計画は、希少な種であるパンダの遺伝子多様性を維持するため、施設内で生まれたパンダを徐々に野生状態に近づけるもので、そのための施設の建設が、2010年5月、四川省の成都パンダ繁殖研究基地の研究センターで始まった。今後、878万米ドルを投じて実験区域と森を設置し、3~5年後に完成する予定。完成後はまず3~5頭を収容し、適応能力の高いパンダを選び5~10年ごとに自然により近い場所へ移して人間への依存を減らしていき、最後は近くの自然保護区に放す計画である。ジャイアントパンダは世界で最も絶滅が危惧されている種であり、約300頭が飼育下で繁殖されている。過去20年の人工繁殖技術の向上で個体数は増えているが、近親交配のリスクが高まっている。野生の個体は約1600頭いるが、人間活動により生息地が分断されて個体群がばらばらになった結果、やはり近親交配が起こりやすくなり、遺伝子多様性の減少、子供の成長への影響、死産などが懸念されている。専門家らは、野生に戻すことで個体群が増え、近親交配のリスクが減少し、遺伝子多様性が確保されると期待を寄せている。
情報源 | 中国科学院(CAS) プレスリリース |
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国・地域 | 中国 |
機関 | 中国科学院(CAS) |
分野 | 自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | 野生生物 | 中国科学院 | CAS | 近親交配 | 生息地 | 遺伝子 | 繁殖 | ジャイアントパンダ | 個体群 |
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