国連の研究チームは、気候変動により残留性有機汚染物質(POPs)の放出が増加し、生物や環境への影響が深刻化するという研究成果を発表した。POPsは、残留性・毒性が強く、心疾患、代謝異常、ガンの発生原因となるほか、生殖・免疫機能をも害するとされる。「気候変動とPOPs間の相関関係」と題するこの研究によると、気候変動は、頻繁な豪雨や洪水を引き起こすため、保管中の廃農薬POPsが大量に環境中へ流出するリスクが高まっている。流出したPOPsは食物連鎖に入り込み、生物濃縮によって人間や野生生物等に世代を超えて影響を及ぼすという。また気温が上昇すると、氷河の融解や海流・気流の変化によって、極地に生息するアザラシ等の海洋動物のPOPs汚染リスクが高まり、マラリア等の感染症の増加によって殺虫剤DDT(POPsの一つ)の需要が増加する等の可能性も指摘されている。研究チームは、長期的なモニタリング調査や、両分野(気候変動、POPs管理)の政策担当者同士の連携を求めている。この研究成果は今後、政策提言としてまとめられる見通しだという。
情報源 | 国連環境計画(UNEP) プレスリリース |
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国・地域 | 国際機関 |
機関 | 国連環境計画(UNEP) |
分野 | 地球環境 健康・化学物質 自然環境 |
キーワード | 海洋生物 | 気候変動 | 国連環境計画 | UNEP | 感染症 | POPs | 残留性有機汚染物質 | 洪水 | 農薬 | DDT |
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