国連環境計画は、持続可能な海洋資源確保のため、漁業補助金改革を求める報告書を発表した。魚をタンパク源とする人々は世界で10億に上り、漁業はその貴重な食料源の供給手段であるとともに、重要な生計手段でもある。しかし、商業利用されている魚種の80%について、その資源量は、過剰利用あるいは枯渇の状況にある。乱獲による経済的損失は年500億ドルと推計される。乱獲を生じさせている主要因の一つが政府補助金である。報告書は、漁業管理基準の制定と途上国に対する特別措置を行いつつ、補助金を禁止する範囲と例外を明確化するなど補助金の透明化が課題であるとし、WTOにおける交渉の促進を求めている。報告書は『漁業補助金、持続可能な開発、WTO』と題され、漁業補助金改革問題の経緯、分析とまとめ、WTOにおける交渉の現状について述べ、当該問題の総合的なマニュアルとなっている。また、エクアドル、ノルウェー、セネガルの改革事例が挙げられている。