陸域と海洋において生物が気候変動の影響から逃れるには、どれ程の速度で移動する必要があるかを示す研究が、2011年11月初旬の『サイエンス』誌に発表された。それによると、陸域では年に2.7km、海洋では年2.2kmと、移動に必要な速度はほぼ同じとなった。温室効果ガスによって、陸域の気温は1960年以降約1℃上昇しており、これは海洋の温暖化の約3倍の速度である。全体としてみれば、海洋の温暖化は陸域ほどではないようにみえるが、海洋のほうが変化の速度が大きい場合もあり、潮流と同じように複雑だという。生物が温暖化を避けるには北に移動する必要があると考えられがちだが、今回の研究では、カリフォルニア沿岸の海洋生物の場合には南へ移動する必要があるなど、海洋ではその移動経路が複雑であることが示された。温暖化環境から逃げられずにいると、魚類、サンゴ等、生態的、経済的に重要な海洋生物の成長や生殖が減退し、その存続が脅かされかねない。研究結果によれば、研究結果によれば、陸域・海洋ともに、動植物は急いで移動する必要があるという。