南極のパインアイランド氷河の流出加速の仕組みを解明するため、国際科学者チームが2011年12月中旬から氷河下の海水流調査に入る。陸上の氷河は、海へ流出すると海面上昇の一因となる。パインアイランド氷河は流出速度を増しているとされ、その加速状況と陸から海への氷の供給量を予測するための信頼性の高いモデルの開発が必要になっている。それには、海水流が氷河下に供給する熱の調査とそれによる融氷量の把握が欠かせない。今回の調査はアメリカ国立科学財団(NSF)とNASAの資金で実施され、さまざまな分野の科学者13名で構成される調査チームが、従来のツールと最新式の海洋測器を併用して棚氷下の空洞を測定し、海水流が年間19立方マイル超の氷を流出させる仕組みの解明を目指す。この氷河は調査隊の拠点となるマクマード基地から2200kmも離れているうえ、寒冷で過酷な気候やクレバス等の危険も多く、人員や装備の輸送実現までに数年を要する難事業になっていた。