(独)国立環境研究所は、同研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第48号「環境スペシメンバンキング-環境の今を封じ込め未来に伝えるバトンリレー-」を刊行した。環境中には様々な化学物質や重金属が存在し、その中には人間や生物に影響を与える汚染物質も含まれるが、現在私達が理解している影響だけでなく、曝露から影響の発現までに長期間を要するなどの理由で、まだ気づかれない影響もある。環境スペシメンバンキングは、環境モニタリングを補完する活動で、将来のより進んだ科学技術で過去の分析結果を検証したり、新たに見出された汚染物質の挙動を遡って解析したりするために、環境試料を長期間保存している。今号では、長期保存の設備や、保存している試料など、同研究所における環境スペシメンバンキングの取り組みの歴史と現状を解説すると共に、船底塗料として使用されてきた有機スズやタンカー座礁事故による重油汚染などの例を通して、環境スペシメンバンキングの成果を紹介している。