(独)国立環境研究所は、同研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第47号「化学物質の形から毒性を予測する-計算化学によるアプローチ」を刊行した。化学物質は、私たちに多くの恩恵をもたらすが、健康や環境に影響を及ぼすものもあるため、「化学物質審査規制法(化審法)」により規制している。化学物質の規制には、毒性データが必要であるが、毒性試験には膨大な時間と経費が掛かるため、データが不足している。そこで、コンピュータを使って毒性を予測する手法が注目された。同研究所では、2003年に化審法に生態影響評価が導入されたことをきっかけに、生態毒性を計算機で予測するための研究を開始。2008年には生態毒性予測システム(KATE)試用版を公開した。また、その信頼性を高めるため、化学物質の構造を解析する独自の手法を開発。現在は、精度を向上させたKATE2011を公開している。今号では、化学物質の毒性を予測する手法やKATEシステムの開発について紹介している。