北陸先端科学技術大学院大学は、(独)科学技術振興機構(JST)が実施する課題達成型基礎研究の一環として、植物細胞に含まれる桂皮酸類(ポリフェノールの一種)を用いて、光と熱で多重形状記憶するバイオフィルムを開発したと発表した。バイオプラスチックは、光合成により固定した炭素を含む材料で、二酸化炭素(CO2)を長期間固定することが可能なため、低炭素社会構築に有効であるとされている。しかし、そのほとんどは単純な構造のポリエステルであり機能性の点で問題があるため、用途は限られ、主に使い捨てなどの低価格帯の分野で使用されてきた。今回、桂皮酸類の光機能性に着目し、脂肪酸を組み合わせることで成形加工可能かつゴム物性を持ち合わせる高分子を作成、フィルム化することに成功した。生体分子から光と熱で多重形状記憶できる高機能性フィルムが作成できたことにより、将来的には、光アクチュエータ、光学-力学エネルギー変換素子などへと、さまざまな応用展開が期待でき、バイオプラスチックとしての大気中CO2削減効果も期待できるという。