(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、同機構の産業技術研究助成事業の一環として、慶應義塾大学理工学部機械工学科准教授の泰岡顕治氏が、高効率エネルギー貯蔵・輸送のためのクラスレート水和物シミュレータを開発したと発表した。クラスレート水和物は、天然ガス等の貯蔵・輸送コストをLNGに比べて20%程度低減可能な、新しい省エネルギー貯蔵・輸送技術として期待されている。しかし、クラスレート水和物の相平衡データはあまり整備されておらず、天然ガス等以外の「ゲスト物質」の相平衡条件を見いだすには、通常3~6ヵ月かかる実験を数多く行う以外なかった。本研究では、分子動力学シミュレーションを用いて、クラスレート水和物の相平衡条件を計算するプログラムを開発。実験を行うことなく1~3ヵ月という短時間で相平衡データを取得し、クラスレート水和物での貯蔵・輸送に適したゲスト物質を見出すことを可能にした。