(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、同機構の産業技術研究助成事業の一環として、京都大学化学研究所高分子材料設計化学研究室助教の後藤淳氏らが、超低コストの精密ラジカル重合(リビングラジカル重合)を開発したと発表した。リビングラジカル重合は、高性能高分子の製造技術として脚光を浴びているが、高価な化合物や重金属を使用しているためコストや環境負荷が大きく、普及が進んでいないのが実情。同研究室では今回、汎用のアルコール化合物を触媒とし、従来技術に比べてはるかに低コストの重合を実現した。これにより、制御剤費用を従来の約1/10以下にすることができ、触媒の微量化により生成高分子からの触媒除去の必要性がないため、エネルギーと石油を削減できる。また、触媒の安全性と取り扱いの安易さから環境安全性と簡便性にも優れており、新しい電池材料や発光体、生体材料等の開発促進への貢献が期待されるという。