(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、同機構の産業技術研究助成事業の一環として、東京大学新領域創成科学研究科が、環境にやさしい非鉛圧電セラミックス原料粉末の安定合成技術を開発したと発表した。圧電セラミックスは、医療診断装置などに使用される重要な電子材料であるが、現状は鉛を多く含むため、環境負荷の少ない非鉛圧電材料の開発が急務となっている。本研究は、新たな非鉛圧電セラミックス製造手法として超音波アシスト水熱合成法を開発し、非鉛圧電材料の一つであるKNbO3圧電セラミックスの大量製造を可能にしたもので、競合技術(固相法)に比べて低温合成ができ、極めて高品質な結晶粉末を得ることができる。また、超音波照射により製造プロセス時間を3時間程度に短縮できる。これにより、曲面形状などへの数十ミクロンレベルのセラミックス成膜が可能となり、カプセル内視鏡などへの応用が期待されるという。