北海道大学は、バイオプラスチックのひとつであるポリ乳酸の製造プロセスにおいて、中間体(乳酸オリゴマー)を直接生産する組換え大腸菌を創出し、新たな合成方法を開発した。バイオプラスチックの製造には乳酸オリゴマーが必要であるが、従来法では発酵・精製・重縮合の3段階のプロセスが必要であった。今回の研究では、乳酸を大腸菌の細胞内で重合して低分子量のオリゴマーを合成し、これを菌体外に分泌させることで、1段階の培養プロセスで乳酸オリゴマーを合成することが可能となった。今後、この技術を発展させることにより、ポリ乳酸の製造プロセスを短縮し、より低コストで効率的な生産が可能になると期待される。また、大腸菌の乳酸オリゴマーを分泌する機構の解明により、細胞内外の物質輸送に関する新たな知見が得られることが期待されるという。