千葉大学を中心とした国際研究グループは、全球を対象とした陸域炭素収支シミュレーションにより、2000年代における陸域CO2吸収量の変化要因を解明した。2000年代以降、化石燃料の燃焼によるCO2排出量は増加しているが、大気に貯留するCO2の増加率は1960-1990年代に比べて緩やかになっている。今回、同研究グループは、複数の推定手法(生態系モデル、大気インバースモデル、残余法)を用いて、陸域CO2吸収量変化のメカニズム解明に取り組んだ。その結果、1)地球の広範囲において2000年代はCO2吸収量が多かったこと、2)CO2 吸収量の増加要因の一つとして、熱帯地域におけるCO2施肥効果による影響が挙げられること、一方、CO2施肥効果だけでは説明できない影響も見られ、3)過去の土地利用変化から回復した植生による影響が強いこと、4)大規模な土地利用変化が行われ、その後に植林・森林管理がなされている地域(北アメリカ東部、ヨーロッパ、中国など)では、CO2吸収量の増加が顕著だったこと、が明らかになったという。