京都大学とお茶の水女子大学の研究グループは、微細藻におけるオートファジーの役割を解明した。「オートファジー」は細胞が自身のタンパク質を食べてアミノ酸に分解する現象・仕組み。栄養環境の悪化に伴うタンパク質リサイクル等に関与しており、オートファゴソーム(細胞が内容物を膜で取り囲んだ小胞)にリソソーム(分解酵素を含んだ小器官)が融合し自己消化が進行する。同研究グループは藻類のオートファゴソーム形成に必要なタンパク質をコードしている遺伝子(ATG8)を欠損した「変異株」の単離に成功し、栄養欠乏条件下における代謝制御を調べることでATG8が1)窒素、硫黄およびリン酸欠乏状態で細胞生存性とクロロフィル維持に必要であること、2)窒素制限条件下で培養した細胞内の脂質分解を支えていること、3)リン酸欠乏状態におけるデンプン蓄積に必要であることを結論した。オートファジー機能のさらなる検証が進み、微細藻によるバイオ燃料生産プロセスの安全性確保(生物学的封じ込め)への応用が期待できるという。