東京農工大学、京都大学ほか国内2大学およびカメルーンジャング大学からなる国際研究チームは、中部アフリカ・カメルーンにおける調査研究により、焼畑後に繁茂する「下層植生」が熱帯林の土壌肥沃度の回復に果たす役割を解明した。同国の東部では、熱帯林を伐採・火入れして畑作を営み、数10年間は農耕などを行わずに再利用に備える「焼畑-休閑サイクル」が繰り返されている。同研究チームは、森林の下層植生が休閑中の土壌有機炭素(SOC)に影響を与えているという最新の知見を踏まえて、同地の熱帯林(開墾後2年~50年以上)4地点において土壌断面調査を行い、炭素安定同位体比を用いて土壌炭素の起源(木本・草本)を推定した。その結果、休閑初期は焼却された樹木(炭)などに、繁茂した草本に由来する炭素が加わることでSOCは最大となり、休閑年数が長くなるにつれてSOCが減少することが明らかになった。草本植物の活用により休閑期間の短縮などが図られ、地域経済社会の発展と両立する熱帯林保全の在り方が示唆されたという。