東京科学大学(Science Tokyo)の研究チームは、液体金属錫を用いた新しい海水淡水化技術を開発した。この技術は、海水淡水化プラントで発生するブラインを資源化し、同時に淡水を生産するものである。ブラインは海水を濃縮したもので、年間50兆リットルが発生している。従来は希釈して海洋に放出されていた。本研究では、核融合炉の冷媒材料として期待されている液体金属錫の特性を活かし、300℃に加熱した錫にブラインを噴霧する技術の効果検証が行われた。ブライン中のNaやMg、Ca、Kなどの金属元素を液体金属錫に溶解させ、冷却した結果、Na等の金属元素を効率的に回収できることが確認された。また、この技術はヒ素で汚染された地下水の浄化にも応用出来ることが示唆された。──研究チームは今後、デモプラントを建設し、数リットル単位の淡水を連続的に生産する実証を行う計画だ。水不足と資源不足の解消に大きく貢献することが期待される(掲載誌:Water Reuse)。