(国研)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、発電細菌を利用した有機物濃度測定センサーを応用したBOD(生物化学的酸素要求量)監視システムを開発したと発表した。発電細菌は、有機物を分解してエネルギーを得る際に体外の金属に電子を渡す(電流を発生させる)性質を持つ細菌で、さまざまな自然環境下に存在している。農研機構は、複数の電極と電位制御装置からなる装置(センサー)を設計し、排水に含まれている発電細菌の一種(Geobacter属)が一部の電極に自発的に付着して電流を生み出し、従来法では5日間を要するBODを6時間で測定できることを確認している。今回、山形東亜DKK(株)(山形県新庄市)が、畜産業における硝酸性窒素等の暫定排水基準の引き下げ(規制強化)を視野に入れて、同センサーの製品化に取り組んだ。自動サンプリング機能や、水質データをスマートフォンで閲覧できるIoT機能を備えた製品(BOD監視システム)を全国各地の養豚排水処理施設で実証運転し、2020年度に養豚業などに向けた販売を予定しているという。