(国研)量子科学技術研究開発機構(量研)、大阪大学および茨城大学の研究グループは、脱窒過程における反応のメカニズムを解明したと発表した。脱窒は、窒素化合物を窒素ガスとして大気中へ放出する窒素循環の最終過程。この過程のうち亜硝酸還元反応(亜硝酸イオン→一酸化窒素ガス)においては、銅含有亜硝酸還元酵素(CuNIR)が働いているとされているが、量子化学計算と整合する原子・電子レベルでの構造を実験的に提示することは出来ていなかった。今回、同研究グループは、水素原子を直接観察できる中性子結晶構造解析に着目し、結晶試料の品質や大きさといった条件を満たすものを作成。CuNIRの全原子構造を高解像度で決定することに成功した。その結果、既往の量子化学計算と整合する構造が実験的に証明されたという。この知見は、CuNIRに関する実験と理論計算とをシームレスに繋ぐものであり、「原子」から「量子」レベルの生命現象の理解に一歩近づいた成果であるという。