国際連合工業開発機関(UNIDO)は、環境省の拠出金を活用し、チュニジア共和国ベジャにおける廃棄物管理の改善を目的とした「福岡方式(準好気性埋立)」導入プロジェクトをJCM(二国間クレジット制度)案件として採択した。本プロジェクトは、JCMにおいて福岡方式を用いた初の事例であり、2025年末の完工を予定している。
福岡方式とは、1970年代に福岡市と福岡大学が共同開発した準好気性埋立構造である。埋立地に自然通気構造を設けることで、嫌気性環境を回避し、好気性分解を促進。これにより、温室効果の高いメタンガスの発生を抑制し、悪臭や火災、水質汚染のリスクを低減する。国内外で多数の導入実績があり、環境負荷の少ない廃棄物処理技術として評価されている。
チュニジアでは、都市化と人口増加に伴い廃棄物量が増加し、衛生管理が不十分な処分場が課題となっている。特に首都チュニス近郊のベジャ処分場では、メタン排出、水質汚染、火災、崩落といった複合的なリスクが顕在化していた。こうした背景のもと、日・チュニジア両政府は、UNIDOの支援を受けて福岡方式を導入することで合意した。
プロジェクトは、チュニジアの廃棄物公社ANGEDと日本のエックス都市研究所が共同で実施。ベジャ処分場の増設計画に合わせ、全体の約3分の1の区画に福岡方式を導入する。導入後は、年間約512トンのCO2削減が見込まれており、同国および他のJCMパートナー国への技術展開も視野に入れている。本プロジェクトは、脱炭素技術の国際展開と持続可能な開発目標(SDGs)の達成に資するものであり、今後の国際協力のモデルケースとなる可能性がある。
情報源 |
環境省 報道発表資料
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機関 | 環境省 |
分野 |
地球環境 |
キーワード | 国際協力 | 廃棄物管理 | 温室効果ガス削減 | 二国間クレジット制度 | 持続可能な開発目標 | 環境インフラ | 福岡方式 | 脱炭素技術 | 準好気性埋立 | メタン排出抑制 |
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