森林総合研究所は、東アジア固有の落葉低木「オオヤマレンゲ(大山蓮華)」の分布をめぐる生物地理学的な謎を解き明かした。同種は登山者に人気があり、亜高山帯に自生することから比較的涼しい環境を好むと見られている。しかし、日本では北関東を分布北限としており、中国では温暖な南東部に偏在している。同研究所は、オオヤマレンゲ(Magnolia sieboldii subsp. japonica)と、朝鮮半島に分布するオオバオオヤマレンゲ(subsp. sieboldii)の系統分化などを解析し、両種は300~400万年前頃に分化した亜種であり、日本列島と朝鮮半島がつながっていた100万年前に交雑し、西日本のオオヤマレンゲ集団にオオバオオヤマレンゲの遺伝子が混じった可能性が高いことを見出した。また、オオヤマレンゲは夏の少雨を好まず、オオバオオヤマレンゲは冬の乾燥に耐性を有しており、どちらも約7~1万年前の最終氷期に分布域を南方に拡げずに、低標高域に移動する戦略をとったことも分かった。南北に長く、多様な気候・地形を持つ日本列島の生物多様性保全に役立つ知見であるという。