九州大学を中心とする研究グループは、自然に生成する「ナノ粒子」が有害元素濃度の減少に関与し、鉱山鉱水の浄化に重要な役割を果たしていることを突き止めた。同研究グループは、岡山県の人形峠ウラン鉱山において、鉱水が流れ、滞留する間に、ウランやヒ素などの濃度が減少するプロセスの詳細解明に取り組んだ。現地での調査・実験、多角的な分析の結果を踏まえ、流路の水と沈殿物を詳細に分析したところ、地下水が地表に出る地点で酸素に触れ、溶けていた鉄がFe3+に酸化されて水酸化鉄(フェリハイドライト)のナノ粒子が形成され、同時にナノ粒子が重元素を取り込み、互いにくっつきながら粗粒化(凝集)して沈殿または貯水池に流れ込んで堆積するという、一連のプロセスの存在が明らかになった。また、同地のフェリハイドライト特有の構造、粒径、表面特性なども明らかになっており、非晶質シリカナノ粒子との凝集によって安定性が増し、有害元素の保持が持続することが示唆された。鉱山跡地で普遍的に起こり得る反応であるという。