北里大学、産業技術総合研究所および琉球大学の研究グループは、サンゴ礁の砂に蓄積したリン酸塩が「稚サンゴ」の骨格形成を阻害していることを実証した。サンゴ礁は、造礁生物の死骸などが堆積し、形成される。「石灰岩」でできており、多様な生物のすみかとなっている。同研究グループは、過度の栄養塩が流れ込むとサンゴが減少するメカニズムの詳細解明に向けて、沖縄本島の「北部」沿岸部と市街地や農地に近い「南部」沿岸域で採取した「石灰質の砂(底質)」を用いて、同島近海に広く分布する「コユビミドリイシ」の稚サンゴ(幼生サンゴ、ポリプ)を約40日間飼育した。飼育海水に溶出するリン酸塩の濃度を測定するとともに、走査型電子顕微鏡を用いて骨格形成の様子を観察した結果、北部の砂で飼育した場合、リン酸塩濃度は5~8 μM(マイクロモーラー)となり、底面骨格は対照区(海水のみで飼育)の7割程度になった。一方、南部の砂で飼育した場合、リン酸塩濃度は最大20 μMとなり、底面骨格が3割程度まで減少したという。