産業技術総合研究所(産総研)と(株)フソウは、産業廃水中からアンモニウムイオン(NH4+)を回収し、下水放流可能な濃度まで低減させるとともに、回収したNH4+を資源として利用できる濃度まで濃縮する技術を開発した。──アンモニアをはじめとする窒素化合物は肥料や工業などで利用される有用物質であるが、環境中への排出が環境汚染を招く要因の一つとなっている。そこで、窒素化合物を回収再利用する「窒素循環」に向けて国際的な取り組みが進められている。アンモニアは産業廃水中にNH4+として含まれており、これを回収、資源化し、無駄にしない技術の開発が求められてきた。──産総研とフソウは、青色顔料であるプルシアンブルーの鉄原子の一部を亜鉛に置換することで、NH4+を選択的に吸着し、その後NH4+を脱離させて高濃度溶液にすることができる吸着材を開発した。ZnPB(亜鉛プルシアンブルー型錯体)を利用した吸着試験を行った結果、実廃水でも利用可能な性能が確認された。また、処理水のNH4+濃度を下水放流基準以下に低減し、回収したNH4+を高濃度に濃縮することに成功し、500回の吸着・脱離試験でもその性能が維持された。──実際のメッキ工業廃水に適用できることも実証されており、ZnPB吸着材のサンプル出荷も開始するという。