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 極地研など、ゾウアザラシの採餌戦略をバイオロギング手法で解明

発表日:2021.05.17


  国立極地研究所とカリフォルニア大学の国際共同研究グループは、ゾウアザラシ属「キタゾウアザラシ」のユニークな採餌行動を実測した。深海には莫大な魚類バイオマスが分布し、その大半は10 g以下の小さな魚が占めると考えられている。一方、生体組織の脂肪酸解析から、キタゾウアザラシは深海に棲む小さな魚を主食としていることが分かってきている。同研究グループは、出産後の回遊に入る前の雌(体重約350 kg)に加速度計とビデオカメラを取り付け、一定期間後に回収してデータを取り出すという調査を8年にわたり実施した(調査期間:2011~2018年)。その結果、主に深海400~600 mでハダカイワシを捕食している様子などが撮像され、採餌に要する潜水時間とサイクルが明らかになった。体脂肪の増加率を計算し、採餌時間との関係を調べたところ、同種が巨体を維持するためには、1日約20時間以上を深海で過ごす必要があると試算された。同種の採食ニッチを裏づける成果であるが、気候変動に伴う餌量変動に対しては脆弱であることも示唆しているという。

情報源 国立極地研究所 研究成果・トピックス
機関 国立極地研究所 カリフォルニア大学
分野 自然環境
キーワード 気候変動 | ゾウアザラシ | ビデオカメラ | キタゾウアザラシ | 魚類バイオマス | 脂肪酸解析 | 加速度計 | ハダカイワシ | 潜水時間 | 採食ニッチ
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