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 森林総研など、最新の6つのセシウム動態解析モデルで将来予測

発表日:2021.10.18


  森林総合研究所とフランス電力(EDF)、英国ノッティンガム大学などの研究者らは、福島第一原子力発電所(以下「FDNPP」)の事故後に公表されたセシウム動態解析モデルを用いた将来予測を発表した。FDNPP事故以降、森林生態系のセシウム動態を評価するモデルが開発されてきた。今回の論文は、日・仏・英の8大学・研究機関が2013~2020年にかけて発表したモデルの性能と不確実性などを精査するために実施した「相互比較実験(Model Inter-Comparison Exercise)」の成果をとりまとめたもの。福島地域の約70%を占める森林のデータに基づき、6つのモデルを用いて常緑針葉樹林(植生タイプ:スギ、ヒノキ)における137Cs(半減期:30年)の森林内での分布や濃度を事故後50年先まで計算した。木材中のセシウム濃度のモデルの予測値を解析した結果、10年目まではモデル間での差が小さく、調査データと一致する結果が得られた。しかし、長期シミュレーションの終点では、予測値がモデルによって大きく異なることが判明した。こうした差異は各モデルのパラメータの違いによって生じたと考察している。現時点では木材中の137Cs濃度の長期予測が困難であり、モデルの改善・予測精度の向上に向けてさまざまな森林タイプのデータを長期的にとり続け、繰り返しモデルの検証を続けていくことが不可欠であると結んでいる。

情報源 森林総合研究所 研究成果
機関 森林総合研究所 原子力研究開発機構 フランス放射線防護・原子力安全研究所 フランス放射性廃棄物管理機関 国立環境研究所
分野 自然環境
環境総合
キーワード 福島第一原子力発電所 | セシウム | 福島 | 相互比較実験 | Model Inter-Comparison Exercise | 常緑針葉樹林 | 137Cs | 長期シミュレーション | 森林タイプ | セシウム動態解析モデル
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