国立環境研究所を中心とする研究グループは、屋根上に太陽光発電(PV)を設置して蓄電池と組合せ、さらに電気自動車(EV)を蓄電池として活用する街づくり構想(以下「SolarEVシティー)の脱炭素化ポテンシャルを街区ごとに評価した。同研究所は、PV価格の大幅な下落とEV普及の加速を考慮した脱炭素化手法研究の一環として、SolarEVシティーによる経済効率の高い脱炭素化の可能性を提示している(Kobashi, T, et al., 2021)。先行研究は全国9都市における分析結果に基づくものであるが、各都市にはさまざまな形状のビルが存在し、使用状況や電力消費・EV使用パターンも多様であるため、街区ごとの実態把握に向けた詳細調査が課題となっていた。今回の評価は、新地町(福島県相馬郡)の「戸建て住宅街(50軒)」のスマートメータの時間データと、京都市の「中心市街地(商業地区)」のデータを用いて、再エネプロジェクトの評価手法(Techno-Economic Analyses)に基づいて行われた。具体的には、ビルのエネルギー需要を見積もるプログラムにより、発電・電力消費・蓄電の経済性、CO2排出削減率・エネルギー充足率、投資効率など回収に係わる指標(10項目)を見積もり、両地区における2040年までの推移を分析している。一連の分析を通じて、2025年前後にSolarEVシティー化された戸建て住宅街の脱炭素化ポテンシャルが急激に高まり、その後も高い伸びを示すという新知見が得られた。戸建て住宅街を仮想発電所として発展させる方向が示唆され、その実現に向けた規制改革や実証事業を通じたビジネスモデル構築が求められるという。
情報源 |
国立環境研究所 報道発表
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機関 | 国立環境研究所 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | 中心市街地 | EV | 蓄電池 | PV | 京都市 | スマートメータ | 仮想発電所 | SolarEVシティー | 新地町 | 戸建て住宅街 |
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