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 RoHS 指令対応・量子ドットディスプレイの実現迫る(NEDOプロ)

発表日:2022.12.12


  シャープ(株)、シャープディスプレイテクノロジー(株)、東京大学生産技術研究所は、発光スペクトル幅が狭くカドミウム(Cd)を含まない量子ドットによる、電流注入での発光とRGB(赤緑青)画素の形成・配列(パターニング)に成功した。本成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進している「戦略的省エネルギー技術革新プログラム(事業期間:2012~2024年度)」の実用化開発フェーズにおいて得られたもの。ディスプレイ分野では、高画質化などの要求に応えるため、液晶や有機エレクトロルミネッセンス(EL)に代わる次世代のディスプレイ技術の開発が活発化している。そうした中、最も注目を集めているのは直径10ナノメートル程度以下の半導体粒子「量子ドット」の活用。量子ドットは発光スペクトル幅が狭く色純度が高く、カラーフィルタ不要のため電力効率に優れ、自発光型であるため高コントラストを実現できるといったメリットを有している。一方、EUは2006年に特定有害物質の使用制限に関する「RoHS指令」を発し、2019年から電気・電子機器における6物質(鉛 、水銀 、Cd、六価クロム 、ポリ臭素化ビフェニル、ポリ臭素化ジフェニルエーテル )の含有規制を強化している。RoHS指令はEUの規制ではあるが、事実上、日本国内で使用、生産する電気・電子機器も対応が求められている。シャープ(株)など3社(者)は、2019(平成31)年度から「次世代高効率ディスプレイの材料およびプロセス開発」に取り組んできた。本量子ドット最大の特長は、Cdを含まずRoHS指令適用製品となり得ること。また、従来製品よりもB(青)のスペクトル幅を約60%狭め、フォトリソグラフィという要素技術を採用することで、低消費電力かつ汎用的なディスプレイを実現した。ゲームや映画鑑賞、VR体験で使用するヘッドマウントディスプレイをはじめ、中小型の高精細ディスプレイから8K/4K大型ディスプレイまで、幅広い適用シーンを描きつつ、引き続き、「省エネルギーディスプレイ」の早期実用化に取り組むという。当該製品の普及による国内の省エネ効果量(2030年目標)は、原油換算で11.3万kL相当と試算している。

情報源 新エネルギー・産業技術総合開発機構 ニュースリリース
シャープ(株) ニュースリリース
東京大学生産技術研究所 ニュース
機関 新エネルギー・産業技術総合開発機構 シャープ(株) シャープディスプレイテクノロジー(株) 東京大学生産技術研究所
分野 健康・化学物質
環境総合
キーワード 省エネルギー | カドミウム | ディスプレイ | 量子ドット | RoHS指令 | 戦略的省エネルギー技術革新プログラム | パターニング | 発光スペクトル | 次世代高効率ディスプレイの材料およびプロセス開発 | フォトリソグラフィヘッドマウントディスプレイ
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