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 エキゾチックアニマルカフェは本当に「♡いいね」? 違法な展示販売や規制の緩さが浮き彫りに

発表日:2023.03.30


  京都大学霊長類研究所(1967年6月~2022年3月)の研究者と環境保全専門家からなるチームは、エキゾチックアニマルカフェ(以下「EAC」)の拡大に警鐘を鳴らす調査結果を発表した(掲載誌:Conservation Science and Practice)。2000年前後に動物を見ながら飲食を楽しむ業態(ペットカフェ)が登場し、近年では犬や猫のみならず、エキゾチックアニマルを扱うEACが増えつつある。日本のEAC数はアジア諸国の中で最も多く、住宅事情や文化的背景などが増大の一因と考えられている。本研究は本邦EACの実態を把握するとともに、生物多様性保全、国際公衆衛生および動物福祉の観点から評価することを目的としている。全国142のEACのウェブサイトとソーシャルメディアサイトを精査し、取り扱い種と個体の情報を収集するとともに、各種のIUCNレッドリスト評価を調べ、ワシントン条約規制対象種・侵略的外来種の当否などを記録した。その結果、2019年時点で営業が確認できたEACは137店舗に及び、北海道から沖縄まで点在していることが分かった。多くの店舗がソーシャルメディアを通じて「かわいさ」や「めずらしさ」を強調する宣伝を行い、それらが広く拡散されていることが明らかになった。また、ワシントン条約の規制対象種や侵略的外来種を含む数多くの種を展示している店舗も少なくなかった。同チームは、こうした状態が生物多様性へのリスクをはじめ、来客と動物の距離が近いことによる感染症リスクの増大につながると指摘している。他方、小さなケージ・ケース内での飼育や、夜行性動物に対する電灯の使用などは、動物福祉の観点から極めて深刻な問題と見ている。リスク回避に向けた「関連規制強化」の必要性を訴えている。

情報源 京都大学 Latest research news
機関 京都大学 京都大学野生動物研究センター 名古屋大学
分野 健康・化学物質
自然環境
キーワード 特定外来生物 | ワシントン条約 | ソーシャルメディア | 生物多様性保全 | 動物福祉 | IUCNレッドリスト | 感染症リスク | 霊長類研究所 | エキゾチックアニマルカフェ | 国際公衆衛生
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