国土交通省は、国際水素サプライチェーンの商用化に不可欠な大型液化水素運搬船の実現に向け、日豪海事当局間で、新たな貨物タンク断熱システムを含む液化水素の運送要件について合意した。「液化ガスのばら積み運送のための船舶の構造及び設備に関する国際規則」(IGCコード)に規定されていない液化水素の運送要件に係る暫定勧告が、国際海事機関(IMO)において2016年に採択された。翌2017年日豪海事当局間で具体的な貨物タンクの構造や材質、安全設備等を含む液化水素の日豪間での運送要件に合意し、1,250立方メートルの液化水素を運搬できる世界初の液化水素運搬船(すいそ ふろんてぃあ、全長:116.0m、製造:川崎重工業)が建造され、2021年12月に初の運送に係る実証実験が行われた。今後のサプライチェーンの商用化のため、16万立方メートルの液化水素の運搬が可能な大型液化水素運搬船の建造が計画されており、これに対応するため、改めて日豪海事当局間で協議を行い、真空断熱システムに替わる貨物タンク断熱システムを追加した液化水素の運送要件について今回の合意に至った。これを受けて、今後、大型液化水素運搬船の設計が行われるという。