セルロースナノファイバー(CNF)は、木質バイオマス由来のセルロースを原料とし、軽さと強度が特長であることから、自動車部品や家電製品などへの利用が期待されている。―――大王製紙(株)は、CNF複合樹脂の商用プラントを三島工場(所在地:愛媛県四国中央市)に設置し、2025年度に年産2,000トンの生産能力を目指すと発表した。同社はこれまで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、CNF製造コストの低減を目的とするパイロット実証に取り組んできた。NEDOプロ完了後も抄紙技術を応用したCNF前処理プロセスや、芝浦機械との協力による高効率な複合化技術のさらなる改善を進め、CNF複合樹脂「ELLEX-R67」の製品化に至っている。同製品はCNFを67%含む高濃度ペレットであり、樹脂材料設計の自由度が高く、加工しやすい特長を持っている。また、植物由来かつ繊維が破断しにくいといった特性から、減プラスチックやマテリアルリサイクルへの貢献も期待できるものとなっている。先ずは自動車部材としての利用拡大を推進し、製造量・供給量の増大を図り、2025年度以降はさまざまな分野での大型部材試作・評価等も進めながら稼働・運用していくという。