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 電子を操り、エッジ端末の電力を生み出す!

発表日:2024.08.05


  「電子」は原子核の周りを飛び回りつつ、方位磁針のように向きをそろえ、自身も回転(スピン)している。電子の電気的な性質(電荷)と磁気的な性質(スピン)が相まって発現する現象の理解を深め、工学的な応用を目指す分野「スピントロニクス」は、従来のエレクトロニクスでは実現できなかったデバイスの開発に貢献してきた(代表例:ハードディスクドライブの磁気ヘッド)。一方、Wi-FiやBluetoothなどの無線通信用電波が当たり前のように飛び交う時代となり、IoT社会の発展に寄与する新たなデバイス・センサーが希求されている。―――東北大学電気通信研究所の深見教授らは、スピントロニクスの原理を用いて、微弱な無線通信用電波からの「環境発電」を実現した。新たに「ナノスケールのスピン整流器」を開発し、それを10個直列接続することで-50 dBm(デシベルミリワット)の微弱な高周波入力信号から直流電圧への変換が可能であることを実証した。また、-27 dBmの電波からの発電により、市販の温度センサーを駆動することに成功した。同様のコンセプトに基づき、発光ダイオード(LED)の点灯を試みた2021年の成果よりも、約3桁弱い電波での発電を実現させたことになる。発電効率のさらなる向上を図り、スピン素子をより大きな規模で集積することで、電池・電源を必要としないエッジ端末への応用とそれらの社会実装の道が拓かれる、と展望している。

情報源 東北大学 プレスリリース・研究成果
機関 東北大学
分野 環境総合
キーワード スピン | ナノスケール | 無線通信 | 電子 | 電荷 | 環境発電 | IoT | スピントロニクス | スピン整流器 | エッジ端末
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