情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設のクリュコフ博士、兵庫県立大学・兵庫県立人と自然の博物館の中濱博士、国立遺伝学研究所の工樂博士は、日本に生息する希少種の全ゲノム情報を集積したデータベース「Genome sequence data availability for the Japanese Red List」を構築した。このデータベースは、環境省レッドリスト2020と環境省版海洋生物レッドリストに基づき、NCBIの全ゲノム配列情報の登録状況をカタログ化したものである。ウェブブラウザ上で閲覧可能なこのデータベースは、種や亜種の単位だけでなく、「哺乳類」「昆虫」「菌類」などの分類単位ごとの集積状況も一目で確認できる。また、世界各地から日々登録される新しい情報を反映するため、高頻度で表示内容を更新する機能も備えている。さらに、TSV形式でファイルをダウンロードすることにより、二次的なデータ解析にも利用できる。―――全ゲノム情報の読み取りは、遺伝的多様性の正確な把握や生物種の生態・形態・行動の特徴を決める分子基盤の理解に不可欠である。しかし、これまでに手がつけられた種は非常に少ない。ゲノム情報の読み取りには、長鎖DNAの抽出やDNA分子の核内3D構造の捕捉に適した試料の確保、広範な利用に耐える配列情報を整備する技術力が必要である。技術革新と最適化によりコストや計算時間は削減されたが、依然として数百万円の費用と専門技術を有する人員の労力が必要である。本研究の成果は、日本での先制的なゲノム情報取得の道しるべとなることが期待される。
情報源 |
国立遺伝学研究所 Research highlights
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機関 | 情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設 国立遺伝学研究所 兵庫県立大学 兵庫県立人と自然の博物館 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | データベース | 技術革新 | コスト削減 | 遺伝的多様性 | 環境省レッドリスト | DNA配列 | ゲノム情報 | NCBI | 二次データ解析 |
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