広島大学大学院統合生命科学研究科の中林准教授らの研究グループは、ボルネオ島の熱帯雨林に生息するジャコウネコ科の4種(パームシベット、ミスジパームシベット、ハクビシン、ビントロング)が同じ場所で共存できる理由を解明した。4種はいずれも夜行性で、半樹上性の生活を送り、果実を頻繁に採食する。同研究グループは、8年間にわたって野外調査を行い、炭素・窒素のバルク安定同位体分析とアミノ酸の化合物レベル窒素同位体分析を用いて4種の「動物食性の強さ」も評価した。その結果、4種は同じ果実を食べるが、ビントロングはほぼ植物食であることや、他の3種では動物食にばらつきがあることが示唆された。また、同じ場所に生息する近縁種間で観察される、食性の”微妙であるが本質的な違い”が、熱帯地域における生物多様性の高さを維持していると考えられた。この研究は、熱帯地域の高い生物多様性の維持メカニズムの一端を明らかにしたものであり、従来の食性調査方法と安定同位体分析を組み合わせることで、より高精度な動物の食性推定が可能であることを示している。
情報源 |
広島大学 ニュース&トピックス(研究成果)
JAMSTEC プレスリリース 総合研究大学院大学 TOPICS |
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機関 | 広島大学 海洋研究開発機構 総合研究大学院大学 マレーシア・サバ大学 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | 熱帯雨林 | 炭素同位体 | 窒素同位体 | 共存メカニズム | ジャコウネコ科 | パームシベット | 動物食性 | 安定同位体分析 | 栄養段階 |
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