文部科学省と気象庁気象研究所の合同研究チームは、令和7年2月上旬に日本海側と北海道十勝地方で発生した大雪に対する地球温暖化の影響を定量的に評価した。──文部科学省は「気候変動予測シミュレーション技術の高度化や気候変動メカニズムの解明、気候予測データの高精度化などを目指す取り組み(気候変動予測先端研究プログラム)」を推進している。同プログラムでは、気象庁気象研究所の協力のもと、「イベント・アトリビューション(EA)」手法の高精度化や、極端な気象現象の対象を拡張する取り組みも行われている。──地球温暖化により、極端な気象現象の発生確率と強さが増加すると考えられているが、個別の気象条件下で生じる極端現象に対する地球温暖化の影響を定量的に評価する技術は確立されていない。今回、合同研究チームは、高解像度モデルを用いて、実際の気象現象と温暖化の影響を除去したシミュレーションを比較する手法(量的EA手法)を用いた評価を試行した。2kmメッシュの高解像度気象モデルを用いて、令和7年2月上旬の大雪に対する再現実験と擬似非温暖化実験を行い、総降雪量の違いを評価したところ、日本海側の大雪では、7日間の積算降雪量が地球温暖化によって約6%増加しており、北海道十勝地方の大雪では、ピーク時の降雪量が約10%増加していたことが分かった。──これらの研究成果は、地球温暖化の影響をより現実的に捉えるための基礎資料として、今後の気候変動対策に活用されることが期待される。