環境省は、アマミノクロウサギの生息数回復に向けた施策を強力に推し進めている。アマミノクロウサギは外来種や放し飼いネコによって捕食され、交通事故死することも多い。また、致死せずとも傷付き、発見後まもなく死亡してしまう個体も少なくない。そうした実態を踏まえ、同省沖縄奄美自然環境事務所は、交通事故で負傷したアマミノクロウサギの野生復帰なども支援している。──アマミノクロウサギに対する一連の保護活動は、奄美大島・徳之島の関係者らと共に進められてきたが、これまでは連携体制を明文化した文書が存在していなかった。そこで今回、環境省沖縄奄美自然環境事務所と関係市村(鹿児島市、大和村)、3つの動物医療機関は、あらためて「アマミノクロウサギの傷病救護及び普及啓発等の推進に関する連携協定書」を締結した。この協定書は、アマミノクロウサギの「傷病救護」と「生体展示」に関する役割分担と具体的な内容を定めたものである。生体展示は、鹿児島市平川動物公園と大和村アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(2025年4月開館)が担い、治療・リハビリ、終生飼養個体の適正な飼育環境を示すことで、アマミノクロウサギの交通事故防止やペットの適正飼育を呼びかけることを主な目的としている。