奈良先端科学技術大学院大学とカネカの共同研究チームは、生分解性プラスチック「PHA(ポリヒドロキシアルカン酸)」を合成する酵素「PHA合成酵素」の三次元全体構造を世界で初めて明らかにした。この酵素は、PHAの合成を担う中心的な役割を果たすが、その全体構造や合成の詳細な仕組みも解明されていなかった。この研究では、1991年に土壌から発見された細菌由来のPHA合成酵素「PhaC_Ac」を対象に、X線結晶構造解析を用いて構造を可視化し、基質の取り込み口、活性部位、生成物の排出経路という3つの重要な構造要素を特定するとともに、酵素が二量体として機能する仕組みを明らかにしている。
PHAは自然界で完全に分解されるバイオポリエステルであり、石油由来プラスチックの代替素材として注目されている。今回の成果は、酵素の改良によるPHAの高効率生産や、分解速度・物性を自在に制御できるカスタム型バイオプラスチックの開発につながると期待される。分解しないプラスチックごみ問題の根本的解決に向けた、構造生物学からのアプローチが現実味を帯びてきた。
情報源 |
奈良先端科学技術大学院大学 プレスリリース・研究成果
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機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 (株)カネカ |
分野 |
ごみ・リサイクル 健康・化学物質 |
キーワード | 生分解性プラスチック | X線結晶構造解析 | PHA合成酵素 | 二量体構造 | ポリエステル重合 | 微生物由来素材 | バイオマテリアル | カスタム分解性 | サステナブル素材 | プラスチック代替 |
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