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 生分解性プラスチックはゼロリスクではない、添加剤の毒性に留意を!

発表日:2023.07.20


  宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターを中心とする研究グループは、生分解性プラスチックの環境リスクを指摘した。生分解性プラスチックとは、微生物の働きなどによって最終的に水・CO2に完全分解するプラスチックのこと。最終処分(埋立)量の削減はもとより、非石化由来プラスチック(例:バイオマスプラスチック)とともに循環型社会の形成に貢献すると見られている。生分解性プラスチックのなかには、ポリカプロラクトン(PCL)をはじめ、有機酸などから化学的に合成されたものも多い。PCLは融点が比較的低く、熱可塑性のフィルムとして広く普及している。上市に当たっては、機能性はもとより、環境安全性の評価が行われている(例:グリーンプラ識別表示制度)。しかし、使用済みのPCL等が最終分解に至るまでの過程については、制度設計や実態把握は殆ど行われていなかった。本研究は、そのような生分解性プラスチックの盲点を衝くものとなっている。環境安全性テストのガイドラインにならい、実験条件下におけるPCLおよび添加剤のミジンコ類におよぼす影響を精査した。その結果、未分解で重合度・分子量が大きな PCLポリマーはミジンコの消化管に詰まり生存率を低下させることを見出した。この傾向は、分解が進んだオリゴマーやモノマーでは見られなかったという。一方、耐久性の向上を狙い、生分解を損なわない範囲内でPCLに添加される「カルボジイミド化合物」は、0.1〜1 mg/L の濃度で殆どのミジンコを死滅させるレベルの比較的強い毒性を有することが判明した。生分解性プラスチックの安全性を評価する際、今後は添加物の毒性や分解時の流出量を綿密に調べる必要がある、と結んでいる(掲載誌:Journal of Applied Toxicology)。

情報源 宇都宮大学 TOPICS(研究)
機関 宇都宮大学
分野 健康・化学物質
キーワード 循環型社会 | 毒性 | 環境リスク | 生分解性プラスチック | ミジンコ | 添加剤 | 宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センター | ポリカプロラクトン | 環境安全性 | カルボジイミド化合物
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