厚生労働省は2024年度の「家庭用品に係る健康被害の年次とりまとめ報告」を公表した。報告によると、家庭用品中の化学物質が原因と考えられる健康被害事例は、皮膚障害64件、吸入事故等42件に達し、前年を大きく上回った。特に皮膚障害では、ネックレスや指輪などの金属製品によるアレルギー性接触皮膚炎が多数報告され、異常事例(加療30日以上)も7件確認された。吸入事故では、塩素系洗浄剤や防虫剤、殺虫剤に関連する事例が目立ち、呼吸器症状や意識障害を伴うケースも報告されている。
皮膚障害の原因物質としては、硫酸ニッケル、金チオ硫酸ナトリウム、塩化コバルトなどの金属アレルゲンが挙げられる。これらは装身具から汗などにより溶出し、皮膚に接触することで発症する。非金属製品では、家庭用手袋や衣類に含まれる加硫促進剤カルバミックスや染料Solvent Orange 60による事例も確認された。症状は軽度であっても、使用継続により悪化する可能性があるため、違和感を覚えた場合は直ちに使用を中止し、医療機関を受診することが推奨される。
吸入事故では、次亜塩素酸塩類を含む洗浄剤による気分不良や喉の違和感、ピレスロイド系殺虫剤による咳込みや意識障害などが報告された。特に塩素系洗浄剤は酸性製品と混合すると塩素ガスが発生するため、「まぜるな危険」の表示を遵守する必要がある。防水スプレーや手芸用レジンなどの有機溶剤を含む製品も、換気不足の室内で使用すると呼吸器症状を引き起こす恐れがある。
報告書は、事業者に対し安全性の高い製品設計と情報提供を求めるとともに、消費者には適正使用の徹底を呼びかけている。特に金属製品は衣服の上から装着する、洗浄剤や防水スプレーは換気を十分に行うなど、基本的な予防策が重要である。家庭用品の多様化に伴い、化学物質による健康被害のリスクは増しており、購入時の成分確認や使用時の注意が不可欠である。
| 情報源 |
厚生労働省 報道発表資料
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|---|---|
| 機関 | 厚生労働省 |
| 分野 |
健康・化学物質 |
| キーワード | 化学物質 | 塩素系洗浄剤 | 家庭用品 | 皮膚障害 | アレルギー性接触皮膚炎 | 硫酸ニッケル | 金チオ硫酸ナトリウム | カルバミックス | 吸入事故 | 防水スプレー |
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