鳥取県立「山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館(本記事では『山陰ジオ館』と表記」)、北海道大学、京都大学の研究グループは、西日本の広域海域における調査により、海産甲殻類「ウミクワガタ」科に属する5新種、1日本初記録種、1再発見種を発見したと発表した。ウミクワガタは等脚目(ワラジムシ目)に属する小型の甲殻類で、成体は魚に寄生せず、海底の岩の隙間などで繁殖行動を行う。一方、幼生は魚の体表に寄生し、体液を吸う外部寄生虫である。一般的な昆虫のクワガタムシとは全く異なる分類群である。
調査は1995年から2023年にかけて、調査船やスキューバダイビング、地元漁師から提供された魚体などを通じて実施され、研究グループが得られた標本を形態比較と顕微鏡観察により分類した。その結果、奄美大島沖や熊本県天草市沖、宮古島、鳥取県沖などから新種が確認され、既知種数は従来の37種から43種へと16.2%増加した。
特に注目されるのは、南西諸島の浅海域で優占する「リュウキュウイソウミクワガタ」であり、今後の寄生生態研究の中心種として期待される。また、「タジリウミクワガタ」の幼生は水産上重要な魚種キジハタから得られており、養殖環境下での寄生リスクが示唆される。今後は寄生部位の選好性などを明らかにすることで、魚病学や水産学への応用が期待される。
情報源 |
北海道大学 プレスリリース(研究発表)
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機関 | 山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館 北海道大学 京都大学 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | 新種記載 | 海洋生物調査 | 外来寄生虫 | 魚類寄生 | ウミクワガタ | 水産病理 | 養殖管理 | 寄生生態 | 等脚目甲殻類 |
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