東邦大学などの研究グループは、日本近海のマンボウ類2種を対象に寄生虫調査を行い、複数の吸虫種を確認するとともに、新種4種の存在を明らかにした(掲載誌:Systematic Parasitology)。
マンボウ類は国際的な保全評価で減少傾向が指摘されている魚種であり、その生態や関連する生物相の理解は保全上の課題とされてきた。一方、寄生虫は宿主生態と密接に結び付いており、特定の宿主に依存する種も少なくない。
本研究では、形態観察と遺伝子解析により吸虫類を同定し、寄生虫相を体系的に整理した。対象とした宿主はいずれも形態情報と遺伝子情報の両面から種同定されており、過去の記録では曖昧だった宿主―寄生体対応が明確化された。
その結果、日本近海産マンボウ類から5属10種の吸虫が確認され、このうち4種は未記載種であることが分かった。宿主魚が減少した場合、これらの寄生虫も同時に生息環境を失う可能性がある点が示唆される。寄生虫はしばしば注目されにくい存在だが、生態系の完整性を評価する情報源として重要である。
研究グループは、「寄生虫相の把握は宿主種の保全状況を多面的に評価する基盤になる」と述べている。今後は、より多くの宿主個体や海域を対象とした調査を進める方針である。