経団連自然保護基金(委託者:経団連自然保護協議会)は、企業の生物多様性対応に関する2024年度調査結果を公表した。
(一社)日本経済団体連合会は、2010年に国際的な生物多様性保全の枠組みとして「愛知目標」が採択されたことを受け、1992年設立の経団連自然保護協議会を通じて経団連自然保護基金を造成。基金は国内外の自然保護プロジェクトへの助成とともに、企業の対応状況を把握し課題や進捗を共有する目的で、2011年度から2019年度まで毎年アンケート調査を実施。2020~21年度は中断されたものの、2022年度以降再開されており、調査結果は企業の自主的な取組を後押しし、政策提言や行動指針の改善に資する基盤情報として位置づけられている。
2024年度調査は、GBF(昆明・モントリオール生物多様性枠組)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)など国際動向を踏まえ、国内企業の取組状況と課題を把握することを目的としている(回答企業:334社)。結果を分析したところ、経営層の認知度は「生物多様性」で70%、「ネイチャーポジティブ」でやや低いが増加傾向にあることが分かった。また、推進体制は社内専門委員会での報告・決定が最多で、取締役会での関与は半数未満。経営文書ではサステナビリティ方針への記載が優勢で、目標設定は定量36%、定性41%にとどまっていることが明らかになった。情報開示についてはホームページや統合報告書が中心で、法定報告書への記載は限定的だが増加傾向を示す結果となり、参照ガイダンスはCDPとTNFDが突出し、TNFD対応の進展が目立つ。
さらに、GBFターゲットへの対応は87%の企業が少なくとも1項目に取り組み、特に気候変動対策、影響評価・開示、保護地域関連が多いこと、産業部門別ではパルプ・印刷、電力・ガス、建設、食品関連で取組率が高いという結果が示された。TNFD対応では72%がバリューチェーン全体で評価を実施または予定し、LEAPの4段階すべてで取組が増加している。取組理由は国際・国内規範への対応が最多で、次いで経営理念やリスク削減。課題は指標設定やサプライチェーンの複雑性が挙げられるが、技術面の障壁は減少傾向にある。
報告書全体は、企業の対応が国際基準に沿って進展していることを示す一方、制度対応と実務の間に残る課題を浮き彫りにしている。経団連は、本調査結果を政策対話やガイドライン策定に活用するとしている。
| 情報源 |
経団連自然保護協議会 PR TIMES投稿記事
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| 機関 | 公益信託経団連自然保護基金(委託者:経団連自然保護協議会) |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | 生物多様性 | 情報開示 | 気候変動対策 | LEAP | サステナビリティ方針 | 30by30 | TNFD | ネイチャーポジティブ | GBF | 指標設定 |
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