新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日新電機は、インドで「電源用計器用変圧器(PVT)を活用したマイクロ変電所」の実証運転を開始した。本実証は、NEDOの「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の一環として実施されるもので、配電網が未整備な地域における安定的かつ環境負荷の少ない電力供給技術の確立を目的としている。
PVT(Power Voltage Transformer)は、特別高圧送電線から直接低圧電力を取得可能とする変圧器。今回の実証では日新電機が同技術を大容量化し、マイクロ変電所に応用した。導入先はインド・デリー郊外のTATA Power-DDLが保有する変電所で、特別高圧(66kV以上)から240Vの低圧電力を直接供給する仕組みを整備した。マイクロ変電所は、PVTに加え、保護装置、開閉装置、避雷器、配電盤などで構成され、静止機器のみで運用可能なため、構成がシンプルで信頼性が高い。従来のディーゼル発電機と比較して、運用コストの低減、省スペース化、CO2排出量の約45%削減といったメリット創出が期待できる。1カ所あたり100 kVAの供給能力を持ち、両者は50〜100世帯への電力供給が可能と見積もっている。──インド政府は「24×7 Power for All」政策を掲げている。全国民に24時間365日の電力供給を目指す政策であるが、北部や北東部では配電網の整備が遅れている。こうした地域ではディーゼル発電が主流であり、環境負荷が課題となっていた。今回の実証は、2024年にNEDOとインドの公的金融機関PFCが合意文書を交わし、日新電機とTATA Power-DDLが契約を締結したことにより実現した。PVTを用いたマイクロ変電所による電力供給はインド初の試みであり、今後は得られたデータをもとに、他地域や他国への展開も視野に入れている。