国土交通省は令和7年度「優良木造建築物等整備推進事業」(第Ⅱ期)の採択結果を公表し、炭素貯蔵効果が期待される中大規模木造建築物の普及に資する13件のプロジェクトを採択した。募集枠は「普及枠」に限定され、提案された全件が採択された。採択事例には、共同住宅、医療・福祉施設、事務所など多様な用途が含まれ、木材使用量は延べ面積あたり最大0.268㎥/㎡に達する建築も見られる。
採択プロジェクトには、群馬県前橋市の「医療法人高柳会 赤城病院・赤城の里 移転および付属施設整備(延べ面積:9,162㎡、木材使用量:0.220㎥/㎡)、東京都大田区の「AQ フォレスト蒲田(共同住宅:0.253㎥/㎡)、「東京都品川区の「南品川5丁目計画 MOCXION(共同住宅:0.178㎥/㎡)、東京都板橋区の「AQ FOREST 大山(共同住宅:0.258㎥/㎡)。さらに、横浜市の「横浜市旭区中希望が丘 介護施設新築工事(延べ面積:0.152㎥/㎡)、「横浜市神奈川区青木町計画(共同住宅/0.174㎥/㎡)のほか、地方都市における福祉施設や事務所建築など7件が含まれている。
同省は、木造建築物の普及促進にあたり、木材の炭素貯蔵効果を環境的価値として位置づけている。木材に含まれる炭素が建築物内に長期的に固定されることで、温室効果ガス排出の抑制に寄与するとの認識に基づき、定量的な評価手法の整備を進めている。現在、建築物のライフサイクル全体を対象としたLCA(ライフサイクルアセスメント)制度の導入が検討されており、2028年度の制度化を目標に、排出原単位の整備や評価ツールの開発が進行中である。これらのモデル化や定量評価は、国交省が主導する検討会の枠組みのもと、専門機関や建設コンサルタント等への委託により実施されている。一部の事業では、林野庁の補助事業を通じて業界団体や民間企業が参画しており、木造建築物における炭素貯蔵量の推計モデルやLCA評価事例の蓄積が進んでいる。制度整備に向けた技術的基盤は、J-CAT(Japan Carbon Assessment Tool)などのツールを活用した試行を通じて構築されつつある。
なお、本事業の概要や過去の採択プロジェクト一覧は、国土交通省住宅局の公式サイトにて公開されている。今後は、木造建築物の普及とともに、炭素貯蔵量の見える化やLCA制度との連携が進むことで、建築分野における脱炭素化の具体的な成果が期待される。
情報源 |
国土交通省 報道発表資料
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機関 | 国土交通省 |
分野 |
地球環境 環境総合 |
キーワード | LCA | 脱炭素化 | 木造建築物 | J-CAT | ライフサイクル評価 | 炭素貯蔵効果 | 中大規模建築 | 建築物補助事業 | 木材使用量 | 建設コンサルタント |
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